元々は財団法人ヤマハシステム講師やブライダルプレーヤーの仕事をしていた私が、「臨床心理士」なる道を選んだのは、今は亡き父親が難病を患ったのがきっかけでした。医療関係者のかいがいしい支援を心強く温かい思いで体験し、「私も、直接人の役に立つ『何か』に関わりたい」と深く思ったのでした。

そして、大学や大学院で、音楽療法や臨床心理学を学び、音楽療法士や臨床心理士等の資格を取得し、県内の医療機関で臨床を重ねてまいりました。また、2020年4月より、高校でのスクールカウンセラーが業務に加わりました。

これまでの臨床では、抑うつ障害、不安障害、自閉症スペクトラム障害（発達障害）等を抱える患者様に多く接する機会を得ました。その中には、過去の辛い出来事が要因となり、様々な症状や不適応行動を起こしている方が少なくありませんでした。そのようなニーズからEMDRと出会い、その癒しの力に強く惹かれ、継続研修会やコンサルテーションを受けてまいりました。

EMDRは、PTSDやトラウマ由来の症状や不適応行動に画期的な効果を示すとはいえ、もちろん魔法ではありません。辛い記憶にできる限り安全に対峙するために、カウンセラーと一緒にリラクゼーション法等を含んだ「安定化」に取り組んでまいります。そして、準備が万端整ってから、眼球運動等を行います。トラウマ記憶から解放されていく道程は決して容易なものではない時もあるでしょう。ですが、あきらめることなく取り組むことで、EMDRがクライエント様の自己治癒力を引き出してまいります。人がその方本来の力でトラウマを乗り越えていく過程は感動的ですらあります。クライエント様と一歩一歩共に歩むために、今後も常に研鑽を積んでまいります。