2年ぶりの継続研修会と解離性障害のこと

コロナ禍によって2年ぶりとなった日本EMDR学会の継続研修会は、今月、スペインからのWeb講義をライブで視聴する形となりました。講師は、トラウマ・パーソナリティ障害研究所所長のDolores Mosquera先生。テーマは、「解離性障害の声とのワークに取り組む」というものでした。

EMDRセラピーを進めていく上で、非常に難しい解離性障害のクライエント様との実践に大きな手掛かりを得ることができました。

ドロレス先生の落ち着いた、温かな物腰は、カメラ越しであったとはいえ、とても印象に残っています。

さて、「解離」は、何かに集中・没頭しているために、後で、ふと記憶が抜け落ちていることに気づくような、誰にでも起こり得る「正常解離」から、「解離性同一性障害」(以前は多重人格障害と呼ばれた障害で、この名称の方がピンとくるかもしれません)と呼ばれる「病的解離」まで、幅広く捉えることができます。

解離性障害の要因としては、幼少期の虐待、衝撃的な出来事、苛酷な体験等々が想定されています。

医療とのつながりは欠かせないと思いますが、研鑽を重ねながら、EMDRセラピーをカウンセリングの中で、より適切に適用していけるよう努力を重ねていきたいと思いを新たにしています。

以下は、当ルームを利用してくださっているクライエント様が作詞した「解離」というタイトルの作品です(クライエント様のご許可を得て掲載いたします)。

 

解離

目を閉じてもつらいことからは逃げられないと

気づいたのはいつ頃だったんだろう?

どうしようもなくバラバラになった感情と記憶

どうして私は生きてるんだろう?

 

私のほかにいくつもの私

私じゃないけど私

 

ぼんやりと見えてくる影と影の色

本当の居場所はここにある

心の中だけにある

抱きしめた思い出も誰と誰のもの?

心の中の広い世界

光の糸を紡ぐよ

 

 

うたかたのような夢と現実が混ざり合って

この世界は作り物なの?

確かに苦しいのに思い出せない過去

さまようことしかできないの?

 

私の中に存在する他人

他人でもある私

 

みんなで身代わりした記憶の断片

つながるようでつながらない

私たちはここにいる

はがゆくてもどかしくて それでも一人で

抱えることしかできないよ

全部が私なんだから

 

 

願うのは一つになったり溶け合うことじゃない

昔いったい何があったの?

教えてよねえ教えて

生まれてきたからにはこれからも共に生きよう

記憶のかくれんぼしないで

平和な人生を生きられたら

 

 

 

2年ぶりの継続研修会と解離性障害のこと
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