「毒親」という言葉が聞かれ出して、ずい分経ちますね。驚くほど沢山の「毒親」に関する本が出版されてもいます。「毒親」という言葉は、「毒になる親 一生苦しむ子供」というスーザン・フォワードの著書から広まってきたようですが、「毒親」の害悪には、親子間の程よい距離間を少し蝕んでいるような「微毒」なものから、いわゆる心理的虐待、身体的虐待、性的虐待、ネグレクトの範疇のとんでもないものまであります。
EMDRでは、それこそ様々なトラウマ記憶を扱うことになりますが、非常に多いのは、親子関係の問題です。ここのところずっと注目されている言葉を借りるのであれば、「毒親」との問題をクライエント様とご一緒に見つめて、決して容易くはない道をゴールに向いて歩いていくことになります。
EMDRのプロセスの中では、今までとは違う視点が生まれてくることが自然に起こります。その流れの中で、今までは自責感や罪悪感のもとだったり、恐怖、怒り、果ては憎しみの対象でさえあった「毒親」への一方的な見方が変わることがあります。俯瞰的に捉えることができるようになったことで理解が深まり、関係修復・改善に繋がっていくか、より距離を持つ方を選んでいくか、それは、それぞれのクライエント様の決断になります。
いずれにしても、今まで抱えて来た「毒親」の支配から解放されることは、さらなる負の連鎖を断ち切っていくことにもつながります。
「毒親」とEMDR